デイトレーダーの憂鬱
2009/03/04 Wed
いつもコメントをいただくビットウィーンさんのブログにこんな記事がありました。
http://betweenfx.blog43.fc2.com/blog-entry-261.html#comment-top
ここにコメントを入れたものの、まだ何か書き足りない・・・
ということで、ちょっとばかり書いてみます。ちょっと暗い話になります。
デイトレーダーという生活は、どのようなものなのか、知りたい人も多いでしょう。
儲けられるようになったのだから、さぞかし日々楽しいのだろうか。
毎日利益を出して、どんな感じなんだろう。
実は、結果として利益を出しているとしても、
明日はもう利益が出なくなるのではないか。
もう金輪際儲けられないのではないか。
とにかく、今見えているエッジが次の瞬間には、もう使えなくなるのではないか、といつも不安と背中合わせです。
このような不安と日々戦っているのがデイトレーダーの姿だ、ということは、あまり知られてはいないのではと思います。
一般には、相場の勝ち組になった、双六の上がり、のようなものだから、もう安泰、左団扇、と思われているのかもしれませんが、とんでもないです。
ちょっと油断して、奢りの心が芽生えた瞬間に、奈落の底に叩き落されます。
勝ち組になった、上がりで安泰・・・とんでもない、それを維持するために日々どれだけの研鑽が必要なのか。
イチローがあの地位の上ったから、もう安泰。
横綱になったらもう練習しなくていいよ。
そう言っているのと同じです。
そう思う人は、そもそもこう考えている人でしょう。
相場で利益を出せるようになった人=勝ちパターンを発見した人
普通は知られていない聖杯を手に入れられた人が勝者に・・・となれば、聖杯さえ手に入れれば、もう安泰で、左団扇なんだ・・・ということになりますが、残念なことに実際にはデイトレーダーは、職人ですから、日々研鑽しないと腕があっという間に落ちてしまうんです。
もともと、相場から利益を出す、というのは、相場が勝たせてくれているから利益が出るのであって、自分では利益を出しようがないんです。
そして、その相場は、常に変化を繰り返しているやっかいなものですから、実際に、昨日まであったエッジが、もう消えている、というのは、日常茶飯事です。
技術論としては、損切りは、適当に切ればいいだけですから、私の感覚としては、非常に簡単です。
はずれ馬券をポイと捨てるのと同じぐらい、ものすごく簡単です。
しかし、利食いというのは、いつまでたっても難しいものですし、いつまでたっても満足できる利食いはできないものです。
つまり、いつも(取れなくなるという)不安と(満足するトレードができないという)不満との戦いを強いられているのが、デイトレーダーの姿だといえるのかもしれません。
さらに、人間関係は、かなり最悪です。
私がデイトレーダーだと知っている知人の多くから、10月の暴落の後、こういう質問を繰り返し受けました。
「暴落はどうだった。」
またか、と思います。
実は、この質問の答えには、非常にデリケートな配慮が必要なのです。
というのは、ほとんどの人は、それなりに株や投信などを持っており、言わなくてもボロボロにやられていることが多いわけです。
相手の目を見ると、不安そうに尋ねているのが手に取るようにわかります。
私は言います。「いやー、苦戦してますよ。なんとか耐えたけれども。」
相手の目は・・・ちょっと安堵の目です。
本当は・・・大損した、という答えを期待されていたわけですが、そこまでウソを言う必要もないので、どうでもいい返事をすることにしています。
どうしてこうやってウソをつき続けないといけないのか、悲しくなります。
しかし、人間関係を崩したくなければ、ウソも方便を使うしかありません。
また、定番のもう1つの質問・・・
「この先相場はどうなるんでしょう、上、下」「サブプライム問題は終わったんですか」
デイトレーダーなのだから、相場を読めると勘違いしているのです。
でも・・そんなこと、知るわけありません。神様じゃあないんです。占い師でもないんです。
もし、「わかりません」
と返事すると、軽蔑の目で見られるか、それとも、何かを隠している、と見られるので、答えはこのようになります。
「そうですねえ、難しいですが、当面は上下日経で1000円ぐらいのレンジで行ったり来たりですかねえ。」
とか、適当に答えて、お茶を濁します。
私の仕事を知らない知人から、「今何をしているの」と仕事を聞かれたときは、「パソコンでプログラムとかの仕事をしている」と返事することにしています。
何故そう答えるのか。
友人のデイトレーダーは、本当のことを言ってしまったために、こんこんと何時間も説教された挙句に、それでもデイトレーダーをやめないと言ったために、絶交されてしまいました。
言ってはだめなんです。
世をしのぐ仮の姿を出しておかないと、人間関係が崩れます。
常に周りからは、
大損して没落を期待される仕事=デイトレーダー
だと思っておいていいでしょう。
今回の記事は、書いているだけで滅入りました。
こんな暗い記事を出さないでおこうかとも思いましたが、せっかくの機会ですし、何かの参考にでも?なれば、と思いつつ。
最後に、何故、デイトレーダーになったんですか?
はい、答えは簡単です。この仕事が好きだからです。
やっていて、楽しいからです。苦しいことも多いですが、それもまた楽しみの一つです。
世界中の投資家との知恵比べ。
自分の人格と能力を賭けて、勝負する緊張感。
決戦に出たときのアドレナリンの放出。
そして・・・勝負に勝ったときの結果としての報酬。
そもそも、こんな楽しいゲームが他にあるでしょうか。
世の中には、好きなことを仕事にできる、という幸運に恵まれた人は一握りだと思います。
プロのスポーツ選手など、数えるほどでしょうか。
趣味=トレード
仕事=トレード
楽しみ=トレード
楽しいことをやって、悪いか!!・・・と開き直ってみました(笑)
米国では、リスクを取って挑戦を続けるスペキュレイター(投機家)という仕事は、社会的にも尊敬され、認知されているものだと聞いたことがあります。
しかし・・・良くも悪くも、会社中心の社会主義国の我が日本においては、そのような職業の存在は認め難いものがあるのでしょう。
投資、投機で利益を得るなんてとんでもない。
楽して稼ごうなんて、そんなのは許されない。
そんな仕事は、社会の何の役にもたっていない。
汗水たらして皆頑張っているのに、酷いやつだ。
そもそも・・投資銀行とか、ファンドとか、全て自己の利益を極大化するためだけに存在している組織です。
組織でやったらOKなのに、何故、個人でやったら批判されるのでしょう。
日本って・・・実は、資本主義国だったりして・・・忘れていませんかぁぁーー・・
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